新井邦宏氏の言いたい放題 第18回
勝ち組Dさん
一風変わって、Dさんは、IPO・新興市場のみを対象にしています。
IPOも年に数回程度公募価格割れとなることがありますが、依然としてその人気は高く、公募の段階でそれを入手するのはかなり大変です。
相場はその時々の資金の流れによって影響を受けます。
昔は店頭市場が、1部・2部に続いて流動性の薄い市場といわれ、店頭も2部も人気がある時の値動きは非常に良いものの、ひとたび人気離散となると、流動性の薄さから反対売買すらできないこともありました。
現在は、マザーズやヘラクレスなどの市場も創設され、さまざまな企業の資本調達の場となっています。
ある意味、次から次へと出てくる新興企業をすべて覚えるのは大変です。
しかし、逆に発想すれば、その限られた銘柄群に特化して売買するのも一つの方法かもしれません。
その昔、損失補填の問題があった時にも、新規の転換社債などかなりの確率で利益になる商品を、損失補填に使ったり、あるいは投信などと抱き合わせたり、特定の大口顧客にだけ優先的に渡すなど問題になったことがあります。
中には、厳密に抽選で公正を期している証券会社もありますが、それでも今も、証券会社によって、どうも預かりが大きい顧客や手数料を落とした顧客、あるいは支店長などの裁量でこれらのIPOを渡すことがあるなどは変わらないようです。
つまり、IPOに関しても、上記の要件を満たせば入手しやすいという、入手するにはそれなりのノウハウがあるようです。
いったん人気化すると、百何連勝で公募価格からかなり乖離した初値がつくとなれば、それだけを狙って、ある意味リスクをおさえリターンを狙うのも一つの方法でしょう。
先着何名様の世界なので、あまりノウハウを言ってしまうと怒られてしまうので、ごく当たり前に言えば、
- 下手な鉄砲も数打ちゃ当たる=つまり多くの口座を作る
- 当たる店で宝くじを買う=引き受けの多い会社を選択
- お得意様優先=手数料と預かりがものを言う
- 目の前のにんじんをぶら下げろ=証券会社として取りたい顧客と思わせる
等々があります。
結局、皆どうすれば入手できるか、様々な研究をしています。
公募から大きく買われ初値がついた後、さらに大きく上昇することもあります。
巧くいけば、公募からはそれだけでものすごい利益になり、初値からでもそのチャンスはかなりあるということです。
厳密には、IPOを取るノウハウがあるように、この銘柄はいけるけど、これはダメだというノウハウがあるようです。
これをIPOセカンダリー・エントリーと言っています。
注意しなければならないのは、人気離散後は、その逆にとことんまで売られてしまうことで、やはりどこで見切るか、それも流動性あるうちに見切るかがノウハウのようです。
多くの新興市場で売買する投資家は、テクニカル的に見切りをつけことが多く、やはり通常のテクニカル面の知識も要求されます。
Aさんも新興市場に参入したことがあるようですが、資金量からその流動性に対応できず、自分で買って自分でそれを処分するためにチャートで大陰線をつけなければならなかったと述べています。
つまり、マーケット規模とその時々のその銘柄の流動性の把握が非常に難しいのです。
この分野は研究次第で低リスクで大きなリターンが得られるので各自が研究してみる価値はありそうです。
あまり触れられないのでこのへんで。