新井邦宏氏の言いたい放題 第19回
負け組さん達
負け組さん達についても触れておきましょう。
私はほとんどすべての本の中で、負けている人たちの例を出しています。それ故、私の本を評して「損をしないようにする投資術」などと言う人もいます。
確かに、海外の運用の基本は、損を押さえることにあります。まず、損を少なくすれば、あとは利益が残ることになります。
しかし、「負けないことに主眼をおいた本」と評する人は、その前提にトレンドフォローがあることを忘れています。
トレンドフォローは、いわばポジションを持った時から利益を追求する手法で、利益を追求しながらも、それでも損が出るのが相場なので、その損を少なくしましょうというのがその趣旨です。
4月8日に、ネット証券の口座が3月末で178万口座、1年で56%増となったことが報じられました。
私も複数のネット証券会社に口座を持っているので、おそらく実質数はその3分の1程度だと思うので、50~60万人になったのでしょう。
つまり、その前の年は114万口座なので、おそらく30~40万人程度の人がネットを利用しているものだと思います。
この数字は、ある意味「エッ!」という数字かもしれません。体感的にもっと多くの投資家がネットを使っているようですが、2300万人とも3000万人とも言われる証券人口からみれば、まだ大多数の投資家が対面型証券会社で売買していることになります。
そして、そのうちの何割かが、トレンドフォロー+損切りの徹底で利益を上げているので、全体からみれば勝ち組は氷山の頂点、ピラミッドのてっぺんの石程度かもしれません。
ネットを使わず、チャートを買わず、もちろん株の達人を使わない投資家は、新聞の株式欄あたりで、毎日の株価を調べているのでしょう。
要は、どんなに本で警鐘を鳴らしても、その警鐘すら負けている投資家には届かない訳ですから、救われない人はいつになっても救われないことになりかねません。
その点、株達のユーザーは、何が悪くて、どうすれば勝てるのかを知ることができるので幸せです。
私はネット証券の回し者ではありませんが、やはり手数料の問題は重要で、対面型での手数料では戦いたくとも戦いようもありません。
要は、相場は簡単で、チャートを見て、ダメなら諦めればよいだけです。
第一次放出で買って、318万円を見た後、相場が下落してくると高値覚えで売れなくなり、初値を割り込んでまだ利益でも売らない。
その後の250万円の放出で買って、チャートが売りでも、まだ売らない。
今、日経平均が頭が重くなっています。つまり、損切りせずに買ったままでいる投資家が山のようにいるということです。
そんなこと、恥ずかしくて誰にも言わないですよね。
つまり、自分の買値しか頭にない人、非常に多くの投資家がそうですが、それらの人達が負け組なんです。
さらに、最初の買値を助けようとナンピン買いを繰り返す。挙げ句の果てには信用取引でそれを行い、追い証が払えずに、最後は総投げ。
これから株価が上がることがあれば、これと同じことは株達ユーザーは決してやってはいけませんね。
このことが分かると、3000万人マイナス60万人くらいの、上値で買って凝っている投資家の売りを買い切らないとなかなか上に行けないことが分かるでしょう。