今回は価格帯レシオ(価格帯別出来高)の見方と、その売買判断への活かし方について解説します。チャートの左側に表示されている棒グラフが価格帯別出来高、いわゆる価格帯レシオです。通常の出来高はチャート下部に表示されますが、それを価格ごとに集計し、横軸に棒グラフとして表したものがこの指標です。これを見ることで、どの価格帯で多くの売買が行われたのかを一目で把握できます。
棒グラフが長く伸びている価格帯は、売買量が多く、つまりその水準で株を保有している投資家が多いことを示します。逆に棒グラフが短い部分は取引が少なく、「しこり」が少ない価格帯ということになります。
特に注目すべきは「ボリュームゾーン」と呼ばれる出来高が多い価格帯です。株価が上昇する際、このゾーンを上抜けできるかどうかが大きなポイントになります。多くの投資家が保有している価格帯では、上昇時に利益確定の売りが出やすくなり、上値を抑えられる傾向があります。反対に、株価がそのゾーンを明確に抜けた場合は、売り圧力が弱まり、上昇の勢いが強まるケースもあります。
一方、出来高が少ない価格帯は上値が軽くなりやすく、抜けやすい反面、反落した際にはその価格帯がサポートラインとして機能することもあります。出来高が集中しているゾーンは下落時の下支えとなる「抵抗帯」にもなりやすいのです。
また、この価格帯レシオは、表示する期間によって見え方が変わります。短期のトレードでは短い期間のチャートで確認し、中長期の分析では期間を長くして全体の出来高分布を見るとよいでしょう。期間を変えることで、どの価格帯で投資家が多く保有しているのか、あるいはどの価格帯に売り圧力が集中しているのかを把握することができます。
この指標のもう一つの魅力は、ローソク足だけではわからない「投資家心理」を読み取れる点です。ある価格帯で出来高が多いということは、それだけ多くの投資家がその価格で取引していることを意味します。株価が上昇している局面では多くの人が含み益を抱えており、反対に高値圏で出来高が増えてくると持ち合いの状態が進行している可能性があります。こうした心理的な節目を把握することで、売買判断の精度を高めることができます。
今回はこのような価格帯レシオの見方と売買への活かし方を動画で解説していますので、ぜひご覧ください。